基礎知識

CB形とPF・S形の選び方|容量別の判断基準

更新: 2026-04-30 17:03:38キュービクル手帖 編集部
CB形とPF・S形の選び方|容量別の判断基準

高圧受電設備で『PF・S形』と『CB形』のどちらを選ぶかは、まず受電設備容量が300kVA以下か、それを超えるかで切り分けるのが基本です。
設計検討では、容量だけでなく高圧電動機の有無で候補が一気に絞られる場面が多く、最初に判断軸を示すと比較が進めやすくなります。
さらに、300kVA以下でも『CB形』を採用することはできるものの、その分だけコストは上がるため、仕様だけでなく予算との見比べも必要になります。
この記事でわかること

  • 『PF・S形』と『CB形』の基本的な選び分け
  • 受電設備容量300kVA以下と300kVA超で判断が分かれる理由
  • 300kVA以下でも『CB形』を選べる条件と注意点
  • 高圧電動機の有無が選定に与える影響

CB形とPF・S形の主遮断装置の違い

キュービクル設備の導入費用と保守コストを計算・比較する場面

CB形は主遮断器そのものを遮断器で構成するため、短絡や過負荷が起きたときの切り離し動作が分かりやすく、保護継電器と連動して系統全体を止めやすい方式です。
PF・S形は高圧ヒューズとLBSを組み合わせるため機器点数が少なく、構成を簡潔にしやすいのが特徴で、見積や更新ではこの違いがそのまま図面の見え方に出ます。
設計図面を見比べると、CB形は保護継電器まわりの構成が増え、PF・S形は機器点数が少なくなるため、見積比較の前に方式の違いを押さえる重要性が高いです。
設備管理の現場でも、同じ「主遮断装置」という言葉でまとめてしまうと、復旧性や更新費用の見積もりがずれやすい。
ここは最初に整理しておきたいところです。

CB形の遮断器はどのように動作するか

CB形の主遮断装置は、遮断器が異常電流を受けて自ら回路を切る構成です。
保護継電器が異常を検出し、遮断器へトリップ信号を送る流れなので、動作の段取りが明確で、どこで切れたのかを追いやすい。
現場では、この「検出」と「遮断」が分かれていることが扱いやすさにつながります。

図面上でCB形を追うと、主回路だけでなく保護継電器まわりの部品が増えます。
だからこそ、故障の切り分けでは遮断器単体を見るだけでは足りず、継電器の動作履歴や制御回路まで確認する流れになるのが普通です。
反面、事故時に必要な区分遮断を組み込みやすく、設備全体を守る考え方では整理しやすい方式だといえるでしょう。

PF・S形のヒューズとLBSの役割

PF・S形は、LBSが開閉の中心になり、異常時の保護は高圧ヒューズが担います。
遮断器を中心にしたCB形より構成が簡潔で、部品点数が少ないぶん、図面も見積も比較しやすいのが利点です。
必要な機能をヒューズとLBSに分けて持たせるので、更新計画では交換対象が絞り込みやすくなります。

ただし、ヒューズは一度切れれば終わりで、CB形のように再投入前提で扱う発想とは違います。
LBSは負荷を開閉する役目が中心なので、異常電流の遮断をヒューズに委ねる形になります。
だから、故障後の復旧を速くしたい現場では、どの部品が動作主体になるのかを先に見ておく必要があります。

再利用可否と復旧手順の違い

復旧のしやすさは、CB形とPF・S形で最も差が出る部分です。
CB形は遮断器がトリップしても、原因を確認したうえで再投入の手順に入りやすいのに対し、PF・S形はヒューズが切れていればその交換が前提になるため、復旧までの流れが部品交換中心になります。
短時間で元に戻したいか、部品を絞って構成したいかで選び方が変わるでしょう。

この差は、更新費用の見え方にもそのまま出ます。
CB形は保護継電器まわりの構成が増えるぶん初期の部材が増えやすく、PF・S形は機器点数が少ないため見積が軽く見えやすい。
もっとも、実際の判断では「安いか高いか」だけではなく、故障時に誰がどこまで操作し、どの部品を交換するのかまで含めて考えると、選定ミスを避けやすいです。

容量による選定基準|300kVAの境目

高圧受電設備キュービクルの交換・更新プロセスを示す複数の工程写真

300kVAは、受電設備の方式を分ける最初の境目です。
『PF・S形』は受電設備容量300kVA以下に適用し、300kVAを超えると『CB形』が適用範囲になります。
見積条件を早い段階で切り分けると、機器構成、盤の考え方、工事費の見通しが一気に定まりやすい。

容量の一次判定を先に置くべき理由はここにあります。
設備の中身を細かく詰める前に、どちらの方式で組むかが決まるだけで、比較すべき項目が整理され、見積のぶれも小さくなるからです。

JIS C 4620で見る適用容量の考え方

『PF・S形』は受電設備容量300kVA以下に適用し、『CB形』は受電設備容量300kVAを超える〜4,000kVA以下に適用する、という分け方が基本です(JIS C 4620、現行は2023年版)。
4,000kVAを超える場合はJIS適用外となり、個別設計が必要です。
設計の現場では、この線引きがそのまま機器構成の前提になります。
300kVA以下ならヒューズと負荷開閉器を軸にした構成でまとめやすく、300kVAを超えるなら遮断器を中心にした保護設計へ移る、という理解で十分です。

技術的な理由としては、容量が大きくなるほど短絡時の保護、保守時の切り分け、事故時の影響範囲をより細かく扱う必要があるからです。
『CB形』は部品点数も増えますが、そのぶん高容量側の受電を扱いやすい。
逆に小規模施設で最初から『CB形』を入れると、機能は厚くなってもコストは上がるため、方式の重さがそのまま初期費用に響きます。

300kVA以下でCB形を選ぶケース

300kVA以下でも『CB形』は採用できます。
ただし、これは「選べる」だけであって、「標準的に選ぶ」条件ではありません。
たとえば将来の増設を前提にしていて、最初の計画段階から保護協調を細かく組みたい案件では、『CB形』を入れておく判断が出てきます。
実務では、設備の自由度を取る代わりに、盤構成と工事費が上がる場面だと見ます。

現場で容量の一次判定を先に確認するのは、見積の分岐点になりやすいからです。
300kVAを境に、同じ「高圧受電設備」でも中身の考え方が変わり、電気室のスペース、盤の種類、更新時の部材選定まで連動していきます。
初期の設計確認でここを外すと、後から方式ごと組み替えることになり、比較そのものがやり直しになるでしょう。

容量基準を最初に確認する理由

容量基準を最初に見ると、検討の順番がぶれません。
先に受電方式を固め、その後に保護装置、盤の構成、将来増設の余地を詰める流れにすると、設計・見積・施工の認識差が減ります。
逆に、設備の細部から入ると「この機器は入るが、方式としては重い」「この価格差は容量由来だった」という話が後から出やすい。

実際、最初の打合せで300kVAを境に条件を分けておくと、比較表の作り方そのものが変わります。
『PF・S形』で収まる案件なのか、『CB形』前提で考える案件なのかが見えるだけで、工事費の見通しも機器の選び方も早く定まる。
読者が知りたいのはここで、方式の違いより先に、まず容量で線を引くことだと考える。

高圧電動機の有無による選定制約

キュービクル設備の導入費用と保守コストを計算・比較する場面

6,600V電動機の有無は、キュービクルの型式選定で容量と同じか、それ以上に効いてきます。
kVA値だけならPF・S形が候補に残っても、高圧電動機が入る時点でCB形へ切り替わるのが実務では普通です。
選定の分かれ目は「どれだけ大きいか」ではなく、「何を動かすか」にあります。

6,600V電動機があるとPF・S形が使えない理由

PF・S形が使えない理由は、高圧受配電設備規程によりPF・S形への高圧電動機接続が禁止されているためです。
負荷開閉器(LBS)は短絡電流遮断能力を持たないことがその根拠で、6,600V電動機の始動時に生じる大電流を安全に遮断できません。
受変電設備の選定では、通常運転時のkVAよりも始動時の突入を先に見る必要があります。
電動機は起動の瞬間だけ電流が跳ね上がるため、ヒューズで守る前提のPF・S形では、その一瞬を受け止めきれない場面が出ます。

工場や設備更新の相談では、最初に容量表だけを見てPF・S形が候補に残ることがあります。
ところが、盤内に6,600V電動機があると分かった瞬間に、判断はほぼCB形へ移ります。
これは机上の理屈ではなく、実際の選定で何度も起きる切り替えです。
現場では「kVAは収まっているのに、モーターの有無で話が変わる」という場面が少なくありません。

CB形は遮断器で保護する構成なので、高圧電動機を含む施設にも使えます。
ここがPF・S形との決定的な差です。
ヒューズ前提のままでは始動条件に耐えにくいのに対し、CB形なら高圧電動機を含む任意の施設に対応できるため、選定の自由度が残ります。
容量を詰めるより先に、電動機の有無を確認するのが合理的です。

高圧電動機を含む施設の代表例

高圧電動機を含む施設の代表例は、大型工場、ポンプ設備、コンプレッサー設備です。
どれも共通しているのは、単なる照明負荷や一般動力だけではなく、起動時に大きな電流を必要とする機器を抱えている点でしょう。
こうした施設では、受電容量が同じでも、始動条件の厳しさで型式が変わります。

大型工場では、生産ラインの中核に高圧電動機が入ることがあり、設備更新のたびに選定の前提が変わります。
ポンプ設備は、送水や排水の要として連続運転が多く、停止の影響が広いぶん、電源側の信頼性が重視されます。
コンプレッサー設備も始動電流が大きく、保護協調を雑に組むと運用後に制約が出やすいです。
いずれもCB形を基本に考える場面が多い理由はそこにあります。

NOTE

施設の種類で迷ったときは、kVA表より先に「6,600V電動機が何台あるか」「どの機器が直接始動するか」を見るほうが判断が速いです。
容量だけでは見えない制約が、ここで一気に表面化します。

容量より優先して確認すべき条件

容量が同じでも、保護方式、始動方式、将来の増設予定で選定結果は変わります。
とくに高圧電動機がある施設では、CB形を前提にしておくほうが後戻りが少ないでしょう。
PF・S形は容量が収まりやすく見えても、電動機の始動特性に合わなければ採用できません。

現場で優先して見るのは、受電容量そのものより、始動電流の大きい負荷が何かという点です。
さらに、今は小さく見える設備でも、後から高圧電動機を増設する計画があるなら、最初からCB形で組んでおいたほうが配線や保護協調をやり直さずに済みます。
設備更新の相談で、私はこの確認を後回しにしません。
kVAが同じでも、電動機の有無で必要な構成が変わるからです。

優先して見る条件判断の意味型式選定への影響
6,600V電動機の有無PF・S形の可否を左右するあるならCB形が前提
始動電流の大きい負荷ヒューズ遮断との相性を見る大きいほどCB形が有利
将来の増設計画後からの変更コストを抑えるCB形で余地を持たせやすい

容量だけを追うと、いったん安く見える案に流れやすいです。
ですが、保護協調まで含めて見ると、最初からCB形にしておいたほうが運用の縛りが少ない。
高圧電動機のある施設では、この差がそのまま選定の答えになります。

コストの比較

高圧受電設備の法的規制と届出手続きに関連する行政書類と検査認証の画像。

PF・S形は、保護継電器を省けるぶん初期費用を抑えやすく、機器点数も少ないので盤内の納まりがすっきりします。
見積書を並べると、この差は思った以上に効いてきます。
CB形は逆に、継電器や調整工事が積み上がりやすく、設計段階での手間まで費用に反映されやすい構成です。

ただし、PF・S形は「安く作って終わり」ではありません。
ヒューズが動作した場面では交換部品費が発生しますし、交換前提で運用を考える必要があります。
初期費用をどこまで抑えたいか、交換時の手間をどう見るかで、選定の答えは変わります。

PF・S形のコストメリット

PF・S形のいちばんの強みは、OCR(過電流継電器)が不要なことです。
ただし、GR(地絡継電器)はPF・S形でも省くことができないため、「継電器ゼロ」にはなりません。
OCRを省けるぶん、機器代だけでなく、配線、盤内スペース、据付の手間まで連鎖的に削れます。
実際に見積書を比べると、CB形は継電器本体に加えて調整工事が積み上がりやすいのに対し、PF・S形は初期費用を抑えた構成にまとまりやすいのが特徴です。
小規模な受電設備で「まず導入費を軽くしたい」と考える場面では、かなり扱いやすい選択肢でしょう。

TIP

設備費だけを見ると、PF・S形は機器点数の少なさがそのまま価格差になります。

さらに、機器点数が少ないぶん、盤内のレイアウトもシンプルになります。
これは設置スペースが限られる更新案件で効きますし、工事全体の段取りも組みやすくなる要素です。
余計な部材や調整箇所が少ない設備は、見積の比較でも読みやすい。
設計者の立場で見ると、初期投資を圧縮したい案件ではPF・S形の方が判断しやすい場面が多いです。

CB形で費用が増えやすい項目

CB形で費用が膨らみやすいのは、遮断器そのものより周辺の保護設備です。
保護継電器を設ける分、OCR(過電流継電器)の機器費が増え、さらに試験や調整の工事費が乗ります。
なおGR(地絡継電器)はPF・S形でも必要なため、CB形固有のコスト要因はOCR側です。
ここが見落とされやすいのですが、図面上は数台の追加に見えても、現場では端子処理、信号確認、整定値の合わせ込みまで必要になるため、作業工数が重くなりがちです。
結果として、単純な機器価格差以上に総額へ響きます。

CB形は「安心のためにお金を払う」構造でもあります。
保護の自由度が高いぶん、設備構成に合わせた調整余地が広がる反面、その調整に費用がかかるわけです。
工場や大きめの施設の見積では、遮断器本体より継電器関係と調整工事の比重が高くなり、PF・S形との差が見えやすくなります。
費用増の原因を分解して見ると、単なる機器代ではなく、設計・施工・試験まで含んだ積み上げだと分かるはずです。

初期費用と交換コストの見方

PF・S形は初期費用を抑えやすいぶん、交換コストを運用側で見ておく発想が必要です。
ヒューズが動作した場合は交換が必要になり、そのたびに部品費が発生します。
CB形は初期費用が高くなりやすい代わりに、保護継電器の設置・調整費用を先に払っておく構造なので、設備更新の予算組みでは「今払うか、動作時に払うか」の違いとして整理すると分かりやすいでしょう。
短期の予算を重視するならPF・S形、設備全体の制御性や保護設計を重視するならCB形、という見方になります。

この比較で大切なのは、見積総額だけを並べないことです。
PF・S形は安く始めやすい反面、動作後の交換対応まで含めた運用費を考える必要がありますし、CB形は最初の支出が重くても、保護機能を含めた設備設計としては納得感が出やすいです。
現場で判断するときは、導入時の数字だけでなく、交換部品費、調整工事費、盤内スペースまで一緒に見る。
そこで初めて、どちらが自分の案件に合うかがはっきりします。

選定フローのまとめ

高圧受電設備キュービクルの点検・保守作業を複数の角度から示す専門技術者による定期メンテナンスと診断風景。

高圧受電設備の『CB形』『PF・S形』は、容量・用途・将来増設の順に見れば迷いません。
高圧電動機があるなら『CB形』、容量が300kVAを超えるなら『CB形』、300kVA以下でコスト重視なら『PF・S形』という切り分けが、実務の基本になります。

判断基準チェックリスト

  • 受電容量は300kVAを超えるか
  • 6,600V電動機など、始動電流の大きい負荷があるか
  • 将来増設や保護協調の余地を優先するか
  • 初期費用を抑えることを優先するか
  • 非常電源用途など、別途法令確認が必要な条件はないか

見積依頼で条件漏れを減らしたい人、設備更新で候補を短時間で絞りたい人に向けた整理です。順番を決めて比較すると、選定の手戻りが減り、判断が早くなります。

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